ご挨拶
みなさんこんにちは!
今回は前回に引き続き、長崎旅の続編です。
今回のテーマは「軍艦島(端島)」の上陸ツアー。
このブログは、ラジオでお話しした内容の補足としてお届けします。
軍艦島とは?

みなさんは軍艦島をご存じでしょうか?
正式名称は「端島(はしま)」。
長崎県長崎市にある小さな人工島で、日本の近代化を支えた海底炭鉱の島です。
高層の鉄筋コンクリートが立ち並ぶその姿が軍艦「土佐」に似ていることから「軍艦島」と呼ばれるようになりました。最盛期には約5300人が暮らし、日本一の人口密度を誇りました。
しかし、エネルギーが石炭から石油へと移り変わると1974年に閉山し、島は無人に。
その後、2009年から一般観光が再開され、2015年には「明治日本の産業革命遺産」として世界文化遺産に登録されました。
ツアーの概要
軍艦島に渡るには、長崎港から出るクルーズ船に乗る必要があります。
現在、5社ほどのツアー会社が運航しており、
所要時間はおよそ**2時間半〜3時間、料金は4000円〜**が目安です。
ツアーの内容は会社ごとに異なるため、興味がある方は比較してみるのがおすすめです。
ただし、悪天候時は欠航になる場合も多いため注意が必要。
実際、私たちも3年前は天候に恵まれず、上陸できませんでした。
軍艦島到着までの船内
船内では当時の記録映像が流れ、気分を盛り上げてくれます。
シーズンオフにも関わらず、船内は満席。外国人観光客も多く見かけました。
ちなみに、船酔いしやすいひーちゃんも今回は問題なし。
船体が大きめで安定していたおかげかもしれません。
島が近づくにつれて、乗客が一斉に立ち上がって写真を撮り始めます。
「そんなに撮りたいのかな〜」と思いつつも、その熱気に圧倒されました。
上陸前には、乗客が3グループに分かれて観光する説明を受けます。
英語対応ガイドさんもいて、外国人への配慮も感じられました。。
小さな島が日本を支えた

上陸すると、拡声器を持ったガイドさんの説明が始まります。
年配の方で、まるで島の歴史を生き抜いたような語り口。
今の軍艦島は老朽化が進み、崩落の危険があるエリアには柵が設けられています。
見学できる範囲は限られていますが、それでも当時の暮らしの息遣いが伝わってきます。

この狭い1.2kmの島に、なんと5300人が暮らしていました。
東京より人口密度が高く、当時は世界一。
立てられたアパートは日本で最初の鉄筋コンクリートでした。
島は埋め立てによって拡張され、アパートや学校が渡り廊下でつながれていました。
炭鉱夫の給料は当時のサラリーマンの2〜3倍。
気温30度湿度95%の過酷な労働に見合う報酬だったとはいえ、命がけの現場でした。
水は本土から海底水道管で供給。
植物のない島では、子どもたちが“土を知らない”ことに気づいた大人たちが、
軍艦島に帰る時に、バケツ1杯の土を持ち込み、屋上に畑を作ったそうです。
そのエピソードには心を打たれました。
限られた環境の中でも「こどもの教育」を追求していたのです。
短い時間で説明されることのすべてに、
感動というか、当時の日本人の胆力を見せつけられた気がしました。
これからの軍艦島
今も潮風や台風の影響で建物の老朽化が進んでおり、見学エリアは年々縮小しています。
メインの鉄筋コンクリートアパートは、専門家によると2025年中にも崩壊の危険があるとのこと。
すべてが崩れ去る前に、一度でもこの場所を見ておく価値は大きいと思います。
一部の建物は修繕・保存も進められていますが、時間との戦いです。

もし軍艦島に行ってみたい!という方は出来る限り早く行くことをお勧めします。
常になくなるものが多い場所なので。
豊かに生きたい
ガイドさんの説明を聴き、実際に建物を見て、この地の空気を感じながら、
船の中で見た全盛期の映像を思い出しました。
炭鉱夫という仕事は本当に大変だと思います。
ご家族も心配が多い事でしょう。
また狭い島なので、パーソナルスペースなんてものはなく、
プライベートはあってないようなものだったと思います。
それでも映像に映っている人たちは楽しそうにしていました。
こどもたちも海に飛び込んで遊び、
お母さんたちも週末の市場が人でごった返すなかでも、
笑顔で買い物をしていました。
炭鉱夫の方は顔も服も真っ黒。
それでも限られた娯楽施設でパチンコをしたりお酒を飲んだり。
あの笑顔はお金だけでなく、「心の豊かさ」がなければできない顔だと思いました。
現代の私たちがその精神を引き継げているのか――
そんな問いが胸に残りました。
最後に聞こえてきた声。
「写真撮りすぎててガイドさんの話に間に合わなかったー!」
振り向くと40代くらいの良い大人がそんなことを口走っていました。
多くの人が「映えスポット」として来ているのでしょう。残念ながら。
それでも、自分が得たことは自分の人生に活かしていきたいと思いました。
今の日本は決して順風満帆ではありません。
でも、それは政治家だけのせいではなく、私たち一人ひとりの意識にもある。
軍艦島は、そんなことを静かに教えてくれた気がします。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
